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県民性と日本の豊かさ

2022年01月29日

株式会社ハッピーコンビの荒井幸之助です。

先日、話をしていて県民性が話題になりました。
私は新潟県出身なのですが、新潟県民の県民性を表現するたとえ話として、あばら骨(肋骨のこと)が1本足りない、というものがあります。
意味としては、新潟県の人はおおらかだ、でも、その反面だまされやすい、という意味で理解しています。

このなんとも異様な表現が気になったので、その由来をネットで検索して調べてみました。

すると早速ある情報を得ることができました。
「レファレンス協同データベース」という、国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築している、調べ物のためのデータベースのサイトに記載があったのです。

そこには、質問に対する回答、という形で情報が提供されています。
まず、質問の項目には下記のような文章が掲載されています。以下、転載文です。

新潟県の県民性を表す言葉に、「あばら骨が一本足りない」という言い回しがある。
インターネットで検索すると、千葉県の房州(安房近辺)の人を表す言葉としても使われているのを発見した。
インターネット上の情報では信頼できないため、紙媒体でこの表現が載っている資料はあるか。
「あばら骨が一本足りない」とは、細かいことは気にしない、おおらか、というような意味らしい。

回答は以下の通り。以下、転載文です。
【資料1~5】に関連する記述がありました。舟方唄をもじって県民性に当てはめた言葉のようです。

【資料1】『ぼくらの千葉県 郷土の地理と歴史』(ポプラ社の県別シリーズ 29 樋口誠太郎編著 ポプラ社 1981)
p30-31「また、「房州舟だよアバラが足りん、アバラどころか木(気)が足りん」というたとえがあるが、房州舟とは、県南の房州は割合に波がおだやかなので、
船の竜骨(荒波に耐えるように丈夫にするためのアバラ状の骨組)が少なくてすむことと、アバラどころか木(気力)が足らんというのは、恵まれた環境に育ったために、
社会生活上の「がんばり」や「気迫」が足りないということである。」

【資料2】『房総の民唄をたずねて わが愛する山野の声』(田村実著 崙書房 1974)
p111「【題名】房州舟かよ 【歌詞】房州舟かよ 阿婆木が足らぬ 阿婆木所か 気が足らぬ。」
解説では「更に房総者は肋骨不足の人間だとあらぬ事を言っている」とも書かれています。

【資料2】の「阿婆木」は、表記は異なりますが、樹木の名前のようです。
『動植物名よみかた辞典』(日外アソシエーツ編 日外アソシエーツ 1991)※総称や古名を含む動植物の読み方辞典
p4-5 「阿波木」「阿波岐」とも次の意味で記載されている。
「ミズキ科の常緑低木、(中略)アオキの別称」、「黐木【もちのき】、橿木【かしのき】などの総称」

【資料3】徳田晴彦「岳陽語法」(『方言』第五巻二号 春陽堂書店 1974)
p46歌詞の一部として「房州者かいあばらが足れぬ あばらどころか気が足れぬ」と書かれています。

【資料4】『万有百科大事典 5 日本歴史』(小学館 1978)
p44安房人国記「房州者かよ、あばら(肋骨)が足りぬ」

【資料5】『館山市 暮らしの便利帳』(館山市 2017年版 2017.10)
p1館山市マスコットキャラクターのダッペエの紹介に「性格 おおらかで適当。房州育ちであばら骨が1本足りない」とあります。

転載文は以上です。

このように、新潟県民の県民性の質問に対して、千葉県立中央図書館が回答を寄せています。
質問と回答の内容はもちろんですが、この情報提供の仕組みも興味深いです。
「レファレンス協同データベース」では回答のプロセスも詳細に掲載されていますので、
どういう仕組みがあってどういう経路で回答に至ったか、ということもわかります。
※「レファレンス協同データベース」には、新潟県と肋骨に関する記述もありましたが、由来がわからない内容だったため割愛しました。

本題からそれてしまいましたが、あばら骨が一本足りない、という由来の説が一つ明かされました。
「おおらかさ」は良いですが、その反面「適当、がんばりや気迫が足りない」というのはいやな感じです。でも、その両面を認めるのがフェアというものでしょうか。
ともあれ、なぜ新潟県民はこうした性格に例えられるのでしょうか。
私は理由が大きく2つあると思っています。

一つ目の理由としては、
新潟県は海があるため古くから魚介類が豊富である、また豊かな土壌もあるため農作物も豊かです。
こうした豊かな自然があるため、ガツガツと働かなくても豊かに暮らすことができた、なので性格も穏やかなのだ、ということです。

ちなみに、明治時代には、新潟県は日本で最も人口が多く、
1888年の調査では、新潟県の人口は166万人、2位が兵庫県の151万人、3位は愛知県の144万人でした。
このときの東京都や大阪府、愛知県よりも多かったくらいです。
当時はほとんどの人が農業を営んでいたため、米の産地である新潟県に人口が集中したそうです。

そんな新潟県の豊かさですが、社会人になりたてのときにも県民性で意識させられることがありました。
私が最初に配属されたのが新潟支社だったのですが、そこではなぜか長野支社と比べて話す人に良く出会いました。

例えばこんな感じです。
新潟県は古くから資源の豊富な豊かな土地だが、それに甘んじていてハングリー精神がない。
長野県には海がないため、塩などの資源に恵まれないため、昔からアイデアで勝負してきた人たちで、
道ばたの石一つにも意味を見つけて観光地にしてしまう。だから長野県の人に学ばなければいけない。などなど。

私からすれば、そのライバル関係はどうでも良い事なのですが、
それぞれの良さを認めながら、切磋琢磨をする考え方は良いことなのかもしれませんね。

さて、県民性の理由のもう一つは、信心深さではないかと思っています。
先ほどの当時の農業県が理由からか、新潟県は神社の数が日本一です。
2018年の記録では、新潟県の神社の数は4753社、2番目は兵庫県の3836社、3番目は福岡県の3322社となっています。
1888年の人口が多い新潟県、兵庫県のトップ2が今回も同じというのが面白いです。
神社が多い理由は、作物の豊穣祈願のためだと思います。

また、宗教では古くからの浄土真宗の影響があるのではないかと思います。
新潟県では浄土真宗の宗派が4割を超えるそうです。
私自身も幼い頃から浄土真宗の開祖である親鸞聖人の教えや物語を様々な人や本を通じて教えてもらっています。
こうした信心深さを育む風土が、県民性に影響しているのではないでしょうか。

ちなみに、子供の頃に寺院や神社が近所にある地域で育った人は、
そうでない人に比べて幸せを感じているという調査結果を大竹文雄大阪大教授(行動経済学)らが発表していて、
県民性に何らかの影響を与えている可能性があるのかもしれません。

さて、こうした県民性を含めてその土地それぞれにある個性、独自の環境は、
さらに言えば人のそれぞれの個性を育み、日本の豊かさを創り出してきたのではないかと思います。

東京など、都市への人口の一極集中が進んでいますが、
日本経済のエンジンである都市の活動を支えてきたのが、こうした各地が創る人の個性だと考えています。
各地が人を育て、日本の個性を創り出す、そういう関係性があると考えています。

デジタル化が進んで、どこでも同じ情報を得られる状況にはあるけれど、
人が5感で感じることができるのは、各地のそこ独自のそこだけの環境ではないでしょうか。

都市への人口の一極集中が続いていくと、同質な経験をする人が増えると共に、
この各地が生み出す個性が減り、日本の個性が弱くなる、と思うわけです。

最近のアウトドアブームと人間回帰の流れには、そうした危機感を察知して動いているような、
自浄作用のようなものを感じてしまします。
私も都市に行き着いた一人である以上、子供達には何か土地に根付いた個性的な体験や経験をさせてあげたい、
といつも考えています。
そういう意味でも、教育こそ、各地でもっと独自の個性を活かしたメニューを提供する必要があるのかもしれません。

都市も大切だけれど、日本各地の個性も大切。
各地域には、東京のまねをするのではなく、尖った特徴を明確にして、
各地で競争しながらどんどん個性を発揮していったらよいのだと思います。

これまでこうした議論は様々に行われてきたと思いますが、
そもそも都市に住む人の価値観と、それ以外の地域に住む人の価値観は異なっているのかもしれません。
大きくは、時間と空間の考え方の違いなのだと思いますが、
それぞれの良さを活かして、相互に魅力を高めていけたら良いですね。

人口減少が進む日本ですが、これからも各地が自分たちの地域人材を育てるという意味では、国内だけでなく、
地方自らが外国から人を呼び寄せて、そうした方々も含めて日本を支える人材として育てる視点も必要ではないでしょうか。

そしてそれには各地の定住を支える経済活動、経済力が必要不可欠です。
そう思うと、地域や日本経済の活力を生み出す個性的な起業家や経営者の存在って、とても大切なんだと思うんです。

つい最近、佐渡金山の世界文化遺産への推薦を政府が決めたというニュースが話題になりました。
私も佐渡金山や佐渡島には何度も旅行に訪れたことがありますし、たくさんの思い出があります。
どうか、新潟県の誇る観光名所が世界に知れ渡り、その関連する事業に携わっている人たちの皆様に朗報となり、
多くの世界の人たちに新潟県の人たちのおおらかな県民性に触れていただけたら、なんて思います。

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